機材紹介⑳ モバイルノートPC DELL XPS 13 最終回 4K動画編集編
前回の「撮影素材のプレビューと現場編集用PC」中編に続き、モバイルノートPCのDELL XPS 13〈9300〉を使用してのYouTube用4K動画編集について紹介します。
繰り返しになりますが、編集用途は 自身が運営するYouTubeチャンネル『ヨーロッパ鉄道の旅』の作品作りです。
URail 4K Channel ヨーロッパ鉄道の旅(チャンネル登録お願いします)
今回のテーマは携帯性に優れるモバイルノートPCでも4K編集が可能なのかを検証してみました。
現場でのワークフローを簡単紹介します。
最初のメモリーカードからの取り込み・収録素材のプレビューまでは、①「Sony PlayMemories Home」を使います。
次に取り込み素材のOK,NGカット編集は、②「TMPGEnc MPEG Smart Renderer 6」を使います。
TMPGEnc MPEG Smart Renderer 6は映像をできる限り高速に、詳細にカットすることをコンセプトに設計された映像編集ソフトウェア。
特徴は、編集箇所(映像のカット点)以外は可能な限り無劣化で出力する「スマートレンダリング」機能により、エンコード範囲を極小に押さえ、高速、短時間での出力を実現します。
素材のカット編集作業もモバイルPC上で快適に行えることが確認できました。(機材紹介⑲参照)
現場作業として、DELL XPS 13〈9300〉使用する目的は、クリアしたのですが、
私のワークフローにおいて、NEW XPSが予想以上に快適に動作してくれたので、自宅での本編集にも使えないかと欲が出てきました。
本編集は、デスクトップパソコンで行っていましたが、夏場の使用は排気からの熱で部屋が暑くなるのと、電気代もノートPCに比べるとかかるので、今回はDELL XPS 13〈9300〉で完パケまでをトライしてみたいと思います。
DELL XPS 13〈9300〉のスペックを紹介します。
CPUは第10世代 インテル® CoreTM i7-1065G7 プロセッサー搭載しています。
Core i7のコア数は一般的な4コア8スレッドですがCPU性能は高いようです。
グラフィックについて、dGPUは搭載していませんが、1065G7プロセッサーにはインテル® Iris Plus グラフィックスが内蔵されています。
グラフィック性能は、従来のUHD Graphics 620よりも格段にアップしています。
(GeForce MX250と同程度のスペックらしい)
本編集に使用するビデオ編集用のメインアプリケーションはサイバーリンク社の③「PowerDirector」を使用します。
サブスクリプションプランのPowerDirector 365に契約しています。
ご存じの通り、サブスクリプション契約中は最新のアップデートや、追加される新機能と、エフェクト、テンプレートを使用できます。
ちょうどこのブログを書いているタイミングでVer,18から19にメジャーアップデートが行われました。
PowerDirector 365ポジション的にはコンスマー向けですが、豊富な機能と簡単編集で人気が高いソフトで、私はYouTubeのチャンネル作成時から使い続けています。
それでは実際の使用感について。
「TMPGEnc MPEG Smart Renderer 6」で無劣化の簡易カットした素材をPowerDirector 365に取り込みます。
素材フォルダからPowerDirector365のライブラリー ウィンドウ(素材ビン)にドラッグアンドドロップします。
単一のビデオクリップならPowerDirector365上で4K映像が問題なく再生されます。
タイムラインに複数クリップを並べても大丈夫でした。
しかしながら、本編集なので、テロップやビデオレイヤーを増やす、エフェクトをかけると、さすがに処理できなくなりコマ落ちが発生します。
これはデスクトップパソコンでも同じで4Kマルチレイヤーをそのままサクサク編集させるには、超ハイスペックなCPU/GPUが必要になります。
ただ、PowerDirector 365はコンスマー向けビデオ編集ソフトなので、ある程度のスペックでも編集が可能な設計になっており、その有効な手段としてはプロキシ作成&編集になります。
プロキシはマスター解像度(この場合は4K)からビデオ編集に快適な解像度に落として(軽いデータを別途作成して)ストレスなく編集する機能です。
PowerDirector 365ではプロキシのことををシャドウファイルと呼んでいます。
アプリの基本設定でチェック入れると低解像度のデーター(シャドウファイル)を自動的に生成してくれます。
PowerDirector 365はバックグラウンドでプロキシを生成してくれるので、
作業を止めることなく編集することができるのでとても便利。
ちなみに私の場合は1280×720のHD解像度でプロキシを使用しています。
よって編集画面(プレビュー)で見える解像度(画質)は1280×720になります。
画質よりレスポンス優先の設定ですが、画質面でも特に問題ありません。
プロキシメディアの確認は、ライブラリー ウィンドウの各素材(サムネール)の左下のアイコン表示で確認でき、黄色のフィルムアイコンは作成中で、緑色のフィルムアイコンはプロキシ生成済になります。
プロキシ生成後の環境ならマルチレイヤーでもDELL XPS 13〈9300〉で問題なく編集できました。
肝心な編集レスポンスもデスクトップパソコンとあまり差を感じません。
これは内蔵高速ストレージM.2 NVMe SSDのパフォーマンスも良い影響になっていると考えられます。
ちなみに30分を越える長尺の編集プロジェクトのレスポンスも特に悪くならない感じ。
DELL XPS 13〈9300〉での編集作業は問題なく行えることが確認できたので、
最後にデーターの出力(エンコード)について確認したいと思います。
出力はPowerDirectorから直接YouTubeにアップロードできます。
ファイル種類はMPEG-4 4K 3840×2160/30P
ハードウエアエンコーダーを使用して高速化することも出来ます。
今回の出力検証で使用したプロジェクトは5分36秒の尺で、全クリップにカラコレで色補正し、オープニングの40秒とエンディングの20秒は5レイヤーほど使用しています。
エンコード時間は9分23秒です。
実時間の2倍以内に収まったのでモバイルノートPCにしては優秀な結果です。
DELL XPS 13〈9300〉に搭載されるインテル® Iris Plus グラフィックのパフォーマンスが良いのか?
続いて同じプロジェクトをデスクトップパソコンで試してみます。
CPUは第一世代のRyzen7 :8コア16スレッドですが、GPUは最新のGTX 1660 SUPERを搭載しています。
作業ストレージはXPSと同じM.2 NVMe SSD。
エンコード時間は9分24秒。
ええぇ!!モバイルノートPCより1秒遅い。
測定ミスなのか、モバイル用の最新CPU4コア8スレッドの方が早い?
タスクマネージャーで確認しましたが、CPU8コア16スレッド均等に処理しています。(使用率79%)
GPU:GTX 1660 SUPERの使用率(45%)
不思議な結果に困惑しております。
CPUの世代が違うで単純比較が難しいところではありますが、
冷静に考えましたが、やはりPowerDirectorはコンスマー向けなので、
ハイスペックマシンだから高速化が期待できるのではなく、
それなりのマシンスペックでも快適に使える設計なのか?
それを裏付けるツールとして、バリバリプロ仕様の編集ソフト DaVinci Resolve(ダビンチリゾルブ)で
レンダリング比較してみると歴然とした差が出ました。
特にDaVinci Resolveは作業に大量のグラフィックスメモリを消費するので、専用GPUを内蔵していないとパフォーマンスが極端に悪くなります。
しかしながらDELL XPS 13〈9300〉がまったく使えない感じでもなかったので、必要に応じて機能を割り切ればDaVinci Resolveも使えると感じました。
(DaVinci Resolveはカラーグレーディングとトラッキング作業が素晴らしいので、併用するケースが多いです)
【結論】モバイルノートPCのDELL XPS 13〈9300〉を使用したYouTube用4K動画編集について。
まさかの結果に驚きを隠せませんが、PowerDirectorで完結するのであれば、DELL XPS 13〈9300〉は、まったく問題なくサクサク作業できることが確認できました。
デスクトップパソコンと消費電力差を考えると、ますますDELL XPS 13〈9300〉の出番が増えそうです。
機材紹介⑲ モバイルノートPC DELL XPS 13 動画編集編
機材紹介㉑ プロ仕様動画編集ソフト DaVinci Resolve